・テーマ「奈良のスポーツ遺産について考える」
・趣旨:
京都より長い歴史を持つ「奈良のスポーツ遺産」とはどのようなものなのか。本学会は日本体育・スポーツ・健康学会の地域協力学会でもあり、多くの会員が「奈良」にゆかりのある研究者や教育者である。長い歴史を持つ奈良に関わりのあるスポーツ遺産や「地元奈良」に存在するスポーツ遺産に着目し、その広がりや学術的な意義を探ること、またその内容を学術情報として広く共有することは、学会員だけでなく、本シンポジウムの共催である奈良女子大学「地域連携事業・健康なら21Stepアップ事業」の参加者にとっても、今後の研究・教育・普及活動の促進につながるのではないかと考える。
シンポジウムでは、人類学や考古学の観点から貴重な「スポーツ遺産」を所蔵されている天理大学附属天理参考館、「古代万葉学」の研究拠点としても知られる奈良県立万葉文化館、そして県内で唯一の「スポーツ博物館」ともいえる葛城市立相撲館けはや座の関係者を招いて議論を行いたい。
3つの機関と「奈良の『スポーツ遺産』」との関連は概ね以下のとおりである。
・天理大学附属天理参考館
世界の生活文化と考古美術の博物館である。2020年に創立90周年特別展「スポーツの歴史と文化」を開催し、そこでは同館に収蔵されているスポーツ関連資料の展示が行われ、図録も出版されている。
・奈良県立万葉文化館
万葉のふるさと・奈良にふさわしい「万葉集」を中心とした古代文化に関する総合文化施設として2001年に設立され、昨年、20周年を迎えた。展示室のほか、万葉図書・情報室では約15,000冊を所蔵している。周知のように、万葉集には古代万葉時代の文化や生活を背景とした歌があり、娯楽やスポーツに関する情報が得られる。
・葛城市相撲館「けはや座」
葛城市は相撲の開祖「當麻蹶速」伝説が古くから語り継がれている。相撲の普及活動と伝承を継承する目的で1990年に設立された。2年前に30周年を迎え、『葛城市相撲館けはや座』と題する図録を刊行した。収蔵する書籍、雑誌、番付表等は8,000点に及ぶ。また、館内には土俵があり、相撲甚句の公開練習等にも利用されている。
・シンポジスト(敬称略、順不同)
1.早坂文吉(天理大学附属天理参考館海外民族室・学芸員)
2.井上さやか(万葉文化館企画・研究係長)
3.小池弘悌(葛城市役所産業観光部商工観光プロモーション課(葛城市相撲館)課長補佐)
・コーディネーター:松井良明(奈良高専)